ナイロンはアメリカデュポン社で発明された合成繊維の商標名でした。しかし現在は一般にアミド結合を持つ合成ポリアミドの総称になっています。天然繊維でいうところの絹に代わる高性能な繊維と言われています。紡糸した際に側面が平滑で美しい外観を持っています。

ナイロンの特徴

最大の特徴は丈夫で、引張りや摩擦に強いことです。疎水性のため、吸湿性が低く、早く乾きます。弾力性があり、シワになりにくいと言えます。伸び縮みがなく、型崩れしない発色性に優れているという特徴から「クモの糸より細く、シルクより美しく、鉄より強い」と言われ、高価なシルクの代替品としてストッキングなどに使われていました。
またギターの弦の代替にも用いられています。

ナイロンの分類

ナイロンの中で最もよく使われる2つのナイロンを紹介します。一つは「6.6−ナイロン」、もう一つは「6–ナイロン」です。違いは何か。少し難しい化学的な話になりますが、解説します。ナイロンはジアミンとジカルボン酸という物質の重縮合(水などの分子を取り外しながら結合する反応)によって作られます。

ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から作られたポリアミドはアミド基の結合順序が毎回逆転しておりジアミンの炭素数とジカルボン酸の炭素数がそれぞれ6なので6.6–ナイロンと言います。

カプロラクタムという物質が鎖状につながるとアミド基の結合順序が常に同じになるため6−ナイロンと呼ばれます。

この2つがどう違うかを簡単に言うと6.6−ナイロンは6−ナイロンよりも強いです。ただし染色性は6−ナイロンの方が良いと言えます。このことから6.6−ナイロンは産業用、6−ナイロンは衣料用に用いられることが多い傾向にあります。

ナイロンの生産

ナイロンの生産量のほとんどは中国です。年間におよそ3500万トンと圧倒的です。第2位はアメリカですが、およそ500万トンとなっており差があります。

ナイロンの取り扱い

短所は熱に弱いことです。溶け出す融点はそれほど低くありませんが柔らかくなるガラス転移点と呼ばれる温度は50度ほどとなっています。アイロンは低めの温度設定にしましょう。また、紫外線に当て続けると黄色く変色してしまします。しかしこの点だけ注意すれば非常に強い素材であり様々な用途に使える優秀な素材と言えるでしょう。