水分を吸い取る性質を吸水性と言います。アパレルの世界では、水分が汗の場合が多いので吸汗性ということもあります。
吸水性の測り方
測定方法は非常に簡単ですいくつか方法がありますが、メジャーな手法であるバイレック法を紹介します。原理は非常に簡単でわかりやすい測定方法になります。
バイレック法
① 試料からたて200 mm×よこ25mmの試験片を用意します。
② 試験片の上端を固定して垂直に垂らして下端を水につけて吸水させます。
③ 10分後、水が試験片が吸水している部分の高さを測定します。
吸水の原理
原理は一言で表すと、「毛細管現象」です。繊維を伝って水分が吸収されていきます。特に綿は植物のため、水を吸う道管があり、毛細管現象が起きやすい繊維です。そのため、よくタオル等に使われますね。道管がない化学繊維は紡糸時に類似した形状にしたり、様々な工夫がなされています。
毛細管現象を生み出す方法として
・太さの異なる糸を組み合わせる
・多孔質な生地(糸)を使う
・糸をできるだけ細くする
・断面を凸凹にする
・繊維の側面に溝をつける
などの方法で毛細管現象を上手く使って吸水性の向上を図っています。
吸収された水分の行方
水分が吸収されたままだと通気性が悪くなり、衣類の内側が蒸れてきます。吸水できる量には限度があります。吸水限度以上水分はそのまま滞留し、重力で下に落ちたり、そのまま気化したりします。毛細管現象で吸水した水分は、繊維に染み込んで拡散され、やがては外部へ放湿されます。この時一部に疎水性の繊維が入っていると、素早く気化し、親水性の繊維から水分が伝わってきて、また気化する、すなわち早く乾くわけです。そういった意味では綿とポリエステルの混繊の衣服などは快適性において理にかなっていると思います。できるだけ速く乾燥すれば、快適性が向上しますよね。
まとめ
夏場はより涼しく、冬場はより温かく。「数度の違い」を作ろうと各繊維企業はこぞって開発に取り組んでいます。アパレル商品についているラベルに「吸汗速乾」など機能性が表示されていることがあります。こういった機能性の表示をするためには一定水準の数値をクリアすることが必要で、勝手に表示してはいけないことになっています。なので、こうした表示があれば機能性としては証明されているということになります。服を買う前にタグを入念にチェックしてみると良いと思います。