不織布とは、糸を織ったり編んだりせず、繊維を絡み合わせたシート状のものをいいます。どうやってシート状にするかは、様々な方法が考案されています。コストが安いので、おむつ、掃除用ワイパー、マスク、エプロンや帽子など使い捨て用途に広く使用されている素材です。
不織布の定義からすると、フェルトも含まれるように思いますが、JISの定義からは外れています。しかし、糸を織ったり編んだりせずにシート状になっているので、同じ仲間であると考えて良いでしょう。
不織布の種類
不織布は大きく2種類の作り方で分類されます。一つ目は短繊維をつないで生地にする間接法と、繊維を吐出し作りながら接合して生地にする直接法があります。それぞれの方法の中にもいくつかの方法が考案されています。それぞれについて解説していきます。
間接法
間接法の中には主に水を用いる湿式法と用いない乾式法があります。
湿式法は、ガラス繊維やパルプ原料のようなごく短い繊維を水中に分散させ、網ですき上げてシートを形成します。この方法だと、乾式よりも比較的密度が安定します。濡れているのでその後乾燥させる工程が入ります。
乾式法は回転するシリンダーとロールの隙間を短繊維が通過することによりをシート状にさせる、もしくは空気の流れで繊維を並べてシート状にします。
シート状になったら、接着剤を塗布したり、熱可塑性樹脂粉末(熱で溶けてくっつく粉末)を散布して熱をかけて圧着したり、針を刺して押し入れて接合させたり、縫合したりと様々な工程を踏んで製品が出来上がります。また、シートを作る際の繊維の方向性をコントロールして方向性を持たせたり、ランダムな方向性を持たせたり、それらを組み合わせたりと様々な工夫をすることができます。
直接法
直接法には、スパンボンド法とメルトブロー法があります。
スパンボンド法とは、原料樹脂を溶かして加熱フィードローラーで延伸し加圧空気で噴射します。連続した長い繊維を直接集積するため、引張り強さが大きくなります。広幅、高速生産も可能。おむつや土木、建築、梱包、衣服の資材など広く用いられます。
メルトブロー法とは樹脂を溶融して紡糸するノズルの周囲から高温のエアを吹き付け、繊維を細くしてシート状に集積させる方法です。樹脂から直接シート化できるので効率が良い方法です。また、エアの力で繊維が延伸され繊維径を細くできます。その経は10μmほどまで細くなります。径が細い繊維がたくさん集まると、繊維の総表面積が増えます。このため、フィルタやマスクなどに用いられます。
不織布の取り扱い
不織布は繊維が絡み合っているもしくはくっついているだけの状態ですので、織物や編物よりも耐久性が低いと言えます。何度も繰り返して使用すると毛羽立ったり、破れたりします。このため他の素材と合わせて使用したり、樹脂などで含浸したり、ラミネートの方法で耐久性を持たせた製品があります。