染色とは読んで字のごとく色を染めることです。染めなければ基本的には繊維のそのままの色なので多くは白っぽい色になります。そのままでも良いのですが、汚れが目立ちやすいですし、意匠性に乏しいと言えます。商品をより魅力的にするために染色をします。大きく2種類に分けられ、先染めと後染めに別れます。

先染め

先染めは繊維もしくは糸の状態で染めます。織ったり編んだりするときに、色々な色の糸を挿入することができ、それが柄となって表現することができます。後述する後染めは生地になった後に染めるため、生地を1色の染料が入った釜にドブ漬けすることことになります。先染めは主に糸をボビンに巻いた状態で行います。ボビンといってもミシンに使われるようなサイズではなく500mlのペットボトルくらいのサイズのボビンに1kg程度大量に巻かれます。この時ボビンは販売されているボビンではなく染色専用のものに巻き直します。通常のボビンだと最も内側の糸に染料が行き渡りません。よって専用のボビンは網目状になっていて中からも染料が染み渡るようになっています。ここでボビンに糸を巻くテンションと均一度が重要になってきます。ここが各染色工場のノウハウになるところだと思います。補足として糸を染める際には温度を上げます。その際に糸が収縮するのですが、縮みすぎる場合はあらかじめ熱を入れて収縮させる必要があります。糸の収縮率に合わせて撚糸工程で事前に熱を加える必要があるかもしれません。

ボビンに糸が巻かれた状態が食べ物のチーズ(ハイジに出てきそうなチーズのかたまり)に似ていることからそのまま「チーズ」と呼びます。なので先染めをチーズ染色と呼んだりもします。

後染め

後染めは一旦生地にした後に布ごと染める方法です。最大の特徴は低コストで出来ることです。生地ができた後に染料にジャブっとつけるため大量生産向けと言えます。ただし単色の無地となってしまいます。もし染色前の生地さえストックしていれば、流行や注文に応じて特定の色に染めるだけなので納期も早めることができます。一般的には先染めよりも色の深みが出にくいと言われれいますが条件にもよるでしょう。後染めのなかには縫製して製品になった状態で染めることも考えられます。これを製品染めといいます。

染料は素材によって染まるものとそうでないものがあります。これを利用して染まらない糸を生地織ったり編み込んでおくというテクニックも存在します。

捺染(プリント)

型を使って色糊を印捺する方法です。型を複数作れば別の色をどんどん重ねることができます。近年はこれをインクジェットプリントで行うことも増えてきています。インクジェットプリントは写真のようなものもプリントできます。ただし凹凸の多い生地には向きませんし、なかなか紙のようなレベルの発色とまではいきませんが、最近はかなりレベルが上がっています。セーレン(株)のビスコテックスが有名です。