化学繊維において特殊な製造方法で特色を追加した糸が幅広く作られているので紹介します。
複合糸(コンジュゲート糸)
糸を構成する繊維が単一素材でなく、複合されている繊維を用いた糸のことを言います。多くは2種類の素材を合わせたものですが、構造は基本的に2つあります。糸は下図のような繊維が1本のモノフィラメントと、複数集めて糸にしたマルチフィラメントがあります。
サイドバイサイド型
加熱した際に熱収縮率が異なる繊維で構成すると、収縮さが発生してカールしたように縮れます。これを捲縮(けんしゅく)といいます。捲縮した分は物理的に引っ張ると伸びるので、結果ストレッチ性を付与することができます。
シース・コア(芯・鞘)型
中心がコア(芯)、周りがシース(鞘)となります。いくつか応用例が挙げられます。
- 芯に導電性などの特性をもたせたいが弱い素材のため、強い素材を鞘として芯を守る。
- 芯にある特性をもたせたせたいが、染色性が悪いため、染まりやすい素材を鞘として染色性を向上する。
- 芯を汎用の繊維にし、鞘に芯よりも低い温度で溶けて融着する素材を用いて生地にした時に接着して組織の目止めをする。
混繊糸
フィラメントの短繊維を混合したものです。複合糸との違いは糸を構成する繊維が単一ではないということです。下図のような複数の繊維がたくさん集まって糸になったものを混繊糸といいます。いくつか応用例が挙げられます。
- 染色性の違いを利用し異色にする。
- 繊度の違いを利用し風合いに影響を与える。
- 熱収縮率の違いを利用し、ストレッチ性、かさ高性を付与する。
- 断面形状の違いを利用し、保温性、吸水性などに影響を与える。
スリット糸
フィルムを細く切断して糸にしたものです。切断しているので切断面はエッジが立っています。フィルムなので色々な応用が効きます。フィルムに金属をつけてスリットすればキラキラ光るラメ糸の材料となります。
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また、一枚ではなく複数枚、例えば三枚で中心に何かをサンドイッチしたようなフィルムをスリットしたものもあります。これにより、中心の素材を外的要因から守ることができます。