目付け

織物や編物の単位面積当たりの重さを表す単位のことをいいます。基本的には1㎡あたりに何gの重さであるかで単位は、[g/㎡]となります。

生地の密度は1inchあたりに何本の糸が入っているかを表しますが、糸が太い場合と細い場合がありますので、厚みや、透け感とは結びつきません。目付は重さですので、どの程度の生地感なのか比較しやすいものになります。また、重ければ重いほど原材料をたくさん使っているため、原価が高くなります。コストを把握する指標でもあります。そのため目付けは生地を取り扱う際には必須の数字となります。

注意すべき点として、目付を1㎡でなく、「長さ1m×生地の幅」で表している人もいます。この場合は、g/mとなりますが、g/㎡よりも値が大きくなります。勘違いして割安だと思わないようにしてください。

エンジニアの方は正確に測定するために、測定時の温湿度に注意する必要があります。

標準状態 20±2℃、65±2%RH

の状態で測定してください。繊維は水分の影響を大きく受けます。生地の水分率はすぐに変化しませんので標準状態の環境で1日生地を放置した後に測定することが大切です。これは目付に限った話ではなく、生地や糸の物性を測定する上で常に心掛けるべきことです。

厚さ

生地の厚さは毛羽が出ていたり、糸の屈曲があるため、定規やノギスで測るのは困難です。通常2枚のプレートに生地を挟んで厚みを測定します。ここでどれだけの力で挟むのかが重要になってきます。特に指定がなければ、240gf/㎠の圧力をかけて測定しましょう。毛織物は毛羽が潰れ過ぎてしまうため、7gf/㎠を用いることがあります。

糸密度

織物、編物の項目で前述していますが復習です。

織物:1inch(2.54cm)あたりに何本の糸が入っているか

  タテ: 本/inch   ヨコ: 本/inch

編物:1inchあたりにいくつの編目(コース、ウェール)があるか

  タテ: ウェール/inch  ヨコ: コース/inch

となります。通常1inchあたりですが、会社や、人によっては1cmあたりなど、単位が異なる場合があります。重大なミスにならないよう、常に単位を気にしておく必要があります

カバーファクター

布の表面が糸で占められている面積の割合をいいます。密度と目付だけではわからない情報がカバーファクターによってカバーできますw。

密度は糸の本数を表すだけ→糸の太さが不明→透け感がわからない。

目付けは重量を表すだけ→密度、糸の比重や形態が不明→透け感がわからない。

このことをカバーファクターで解決できます。カバーファクターは計算でおよその目安を出すことができますが、前提として繊維の断面が真円であるとしているため、厳密な面積の割合が出るわけではないことを頭に入れておく必要があります。

まずはわかりやすい織物について説明します。糸の直径がd、本数がnだとすると、面積はn×dです。糸は直径ではなく繊度で表します。直径は繊度の平方根に比例するためn×√Dをカバーファクターと定義しています。

カバーファクター(織): K=n√D

但し、n:本数[本/inch]、D:デニール[d]とします。繊度に関しては、デニール以外にもtex、dtex、番手を用いる場合もあります。カバーファクターは織物であればタテ糸のカバーファクター、ヨコ糸のカバーファクターの2つの値が出てくることになります。

何のために使うのかについて解説します。大きく2つの使い道があると思います。1つは織物の隙間の目安や比較です。カバーファクターは別名空隙率とも言ったりします。隙間がどの程度なのか、透け感がどの程度なのかの目安になります。もう一つは織物が作れるのか(織れるのか)の目安です。隙間が無いということは糸が入る隙間がない→これ以上糸密度を上げることができない。ということになります。カバーファクターで製織の可否がわかったり、糸の繊度を変えても同程度の透け感の生地を得るために密度の逆算ができたりします。

編物に関してはループの長さをLとして以下のように表します。

カバーファクター(編):K=√D/L

但し、L:ループ長[mm]、D:デニール[d]となります。

織り縮み率

生地が織られた後縮みます。どれだけ縮んだかを表す数字になります。生地の仕上げ加工(ヒートセット)時にも縮みますが、その際の縮みのことではありません。あくまでも織物を織った直後の縮み率のことをいいます。縮む理由は織物内で糸は真っ直ぐでなく、屈曲しているからです。タテ糸とヨコ糸が交差しているため、交差部で糸が屈曲します。そのため、挿入されている糸の長さは変わりませんが、生地の幅が短くなります。糸の飛び量が少ない織組織や糸繊度が大きいほど縮み率は大きくなります。通常数%から数10%縮みますので、生地を作る際には大きめに設計しなければなりません。

織縮み率=[(糸長ー織物長)/織物長]×100

糸長は織物からほぐして真っ直ぐにした長さで計算してください。また、織縮み率はタテとヨコ方向両方あります。タテの方が縮む場合はタテ糸曲がり構造、ヨコの方が縮む場合はヨコ糸曲がり構造といいます。