太さの表し方

ここでは糸の太さの表し方を紹介します。一般的に考えると太さは直径で表すのが普通ですよね。でも繊維は直径を用いないで取引をします。

なぜ直径を用いないのか?

繊維はボビンに巻かれて出荷されますがその中で太さのバラツキが大きいと言えます。例えば天然繊維の絹は蚕が吐出するのですが吐き始めが太く、どんどんと細くなっていきます。また短繊維に関しても綿の塊から引き出す時に量を完璧に均一にすることは不可能に近いです。さらには空間(空気層)も含みます。よって切った断面は場所によって均一でなく、真円でもないため、直径で表すことは難しくなります。

糸の太さは繊度!

直径で表しにくいため、糸は繊度と呼ばれる方法でで表すこととなります。一つは恒重式番手、もう一つは恒長式番手です。繊維の分類でどちらを使うか別れます。少しややこしいので頑張ってついてきてくださいね。

短繊維は恒重式番手

綿、麻、羊毛などはこちらの式番手を用います。簡単に言うと、基準の重さあたりの長さを計測したものです。つまり基準の重さ分の糸を採取して、長さが長ければ細く、短ければ太いということになります。言い換えると数値が大きければ細く、小さければ太いということになりますね。一般の考え方と逆なので注意してください。特にミシンの糸には番手が使われますので番手が小さい方が太いということを覚えておいてください。綿の場合は1ポンド(453.6グラム)の長さ840ヤード(768.1メートル)の糸の場合1番手と言います。1ポンドあたり1680ヤードあれば2番手です。1番手より2番手の方が細いことが分かりますか?また、見てお分かりの通り、ポンドやヤードが用いられています。国際単位系で用いられていない単位なのでややこしいですが、産業革命以降イギリスが力を持っていた名残が今も残っています。

種類 呼称 単位質量(基準) 単位長さ
綿糸 綿番手 453.6g(1ポンド) 768.1m(840ヤード)
麻糸 麻番手 453.6g(1ポンド) 274.3m(300ヤード)
毛糸 メートル番手 1000g 1000m

長繊維は恒長式番手

合成繊維などの長繊維はこちらの式番手を用います。こちらは基準の長さあたりの重量を計測します。つまり基準の長さ分の糸を採取して重ければ太く、軽ければ細いと判断します。言い換えると数値が大きければ太く、小さければ細いというわかりやすいものになります。短繊維の恒重式番手とはですね。単位としてはデニール(d)とテックス(tex)がありますが、分かりやすさからテックスが主流になっていると思います。1000mで1gであれば1テックス、1000mで2gであれば2テックスです。また1テックス(tex)=10デシテックス(dtex)であり、デシテックスもよく用いられます。ちなみにデシテックスはデニールと近い値になります。ちょっと頭の中を整理してみてください。

種類 呼称 単位長さ(基準) 単位質量
フィラメント糸 テックス(tex) 1000m 1g
フィラメント糸 デニール(d) 9000m 1g

単位の換算

上記で繊度の表し方がいくつかあることをご紹介しました。慣れなければどの数値を見ても全くピンときませんね。150デニールはどの程度の太さなのか…。パッとイメージできる方はかなりのベテランです。この中で最も得意、使用頻度が多い単位を一つ自分の基準として他の単位から換算してしまう方法が良いかと思います。下の表は有効数字3ケタで丸めていますが、もっと簡単な数字に丸めてしまい、1つの列を暗記してしまうのも良いでしょう。

恒重式番手の換算

綿番手 麻番手 メートル番手
591/テックス 1650/テックス 1000/テックス
5310/デニール 14900/デニール 9000/デニール
0.591×メートル番手 2.80×綿番手 1.69×綿番手
0.357 x 麻番 1.65×メートル番手 0.605×麻番手

恒長式番手の換算

テックス デニール
0.111×デニール 9×テックス
590/綿番手 5310×綿番手
1000/メートル番手 9000×メートル番手
1650 / 麻番手 14900×麻番手