天然繊維であり最も代表的な繊維であると言っても良いでしょう。我々に身近な衣類にも実に多く用いられています。試しに下着や服についているタグを見てみましょう。コットン〇〇%、綿〇〇%などと表記があるでしょう。なぜここまで普及しているのでしょうか。それは綿が植物であり、栽培できるからです。比較的少ない労力で安定して確保できる繊維であると言えます。綿の歴史をたどってみるとどうやら紀元前2000年以上も前から用いられていたようです。それだけ古くから現在に至るまで用いられていたのです。
綿の特徴
綿は短繊維です。よって短い繊維を集めて引き伸ばしながら撚ることで糸にします。綿は肌ざわりが良いと言えます。それは繊維の先端が丸みを帯びており、一本一本が細くて柔らかいためです。
また、水分を吸収するため、さらっとした肌ざわりが得られます。これは綿が植物であるからです。中学校の理科で植物には「導管」と「師管」があると習ったと思います。水を運ぶ導管があるため導管が毛細管現象を引き起こし吸水してくれるのです。これらの理由からタオルや下着に最適であることが分かると思います。
また、上述の理由から染料がしっかりと吸収されるため、しっかり染まり、発色性に富みます。
綿の種類
産地により分けられます。代表的な種類を以下に記します。
種類 | 長さ(mm) | 幅(μm) | 撚り数(/inch) |
海島綿 | 50 | 13 | 300 |
エジプト綿 | 40 | 16 | 230 |
米綿 | 30 | 19 | 200 |
インド綿 | 20 | 20 | 150 |
上に記したものほど高級な綿として取引されています。一般的に、長く、細く、天然撚りの多いものほど風合いが良く高級とされています。最も高級な海島綿はカリブ海周辺のごく限られた地域でしか収穫されず、デリケートな性質上大量生産ができないため、希少な物です。細く丈夫でしなやかな繊維は、かつてパラシュートの素材として用いられたほど強靭であり、王室などに愛されているようです。
綿の産地
綿の主な産地は上記のようになります。綿は日本も含め、世界各地で生産されています。圧倒的に多いのは、以下の3国です。
①インド およそ1800万トン
②中国 およそ1700万トン
③アメリカ およそ1200万トン
またエジプトは生産量は低いものの、繊維長が長く品質の良い綿をブランド化し、高値で取引されている繊維もあります。
綿の取り扱い
綿は短繊維のため、着用や洗濯など摩擦によって毛羽立ちます。毛羽立つと光の乱反射が起き、白っぽく見えてしまします。黒のTシャツでも着用回数が多くなると白っぽく見えるのはこのためです。この現象を白化といいます。また、導管をもつ中空繊維のため、水分を多量に含むと、その分体積が増えて膨張します。形を整えて自然乾燥しないとシワとなったり、型崩れ、縮みに影響します。