繊維とは糸を構成する最小単位の長くて細い固体のことを言います。どれだけ長くて細いかは明確に規定されていないようです。およそ0.1から0.01mm程度の直径を持ち、目で確認できる長さであれば繊維と言って良いと思います。しかし人体に影響のあるアスベストなどは直径0.1μm以下の目に見えない繊維とも言えますので、キーワードとしては「細くて長い固体」ということが前提であるとすることが良いと思います。
針金は繊維なのか?
針金は確かに細くて長い個体ですが、繊維とは言い難いですよね。もう一つ「たわみやすいこと」も重要な要素です。我々の生活に欠かせない繊維製品はたわみやすく柔軟であるために体にまとっても快適なのです。
繊維の分類
繊維を分類するにあたっては2つの視点が欠かせません。一つは「長さ」による分類、もう一つは「素材」による分類です。それではそれぞれの分類について解説します。
長さによる分類
繊維には短いものと長いものがあります。
短いもの 短繊維=ステープル
長いもの 長繊維=フィラメント
明確な規定はありませんが、短繊維は数ミリ程度、長繊維は数メートルから数千メートル連続したものです。短繊維の例として綿が挙げられます。部屋の隅に溜まっている綿ぼこりの多くは綿などの短繊維が集まったものなのです。一方長繊維の例は絹です。絹は繭(まゆ)から取れますが、1つの繭から1000m以上連続した繊維が取れるんです。また化学的に合成して紡糸した合成繊維も連続して巻き取るため長繊維になります。合成繊維にも短繊維がありますが紡糸した後にあえて細かく切って短繊維にしているんですよ。
短繊維と長繊維それぞれ一長一短があります。特徴を理解して最適な用途に用いるのが必要があります。短繊維は短い繊維を集めて撚って糸にしているためふわふわしており柔らかな触感があります。しかし短繊維が脱落したり、毛羽立ち易かったりと耐久性は低くなる傾向にあります。それをカバーするために糸を撚り合わせて太くし厚地のしっかりした生地も多く見られます。帆布(はんぷ)は良い例で体育のマット、カバン、靴(コンバースオールスター)などに使われています。長繊維は糸が連続しているため硬質な触感になります。また毛羽立ちがほとんどないため光が乱反射し、光沢があるように見えます。ウインドブレーカーや着物の帯などをイメージしてただけると良いと思います。
素材による分類
素材による分類は大きく2種類に分かれます。1つ目は天然に存在している材料、例えば植物や動物から採れるものです。代表的な繊維として植物であれば綿、動物であれば絹や羊毛です。もう一つは合成繊維です。化学的に合成した材料を溶液中にシャワーの先端のような口金(くちがね)から押し出し、引っ張りながら巻き取るのが代表的な作り方です。ポリエステル、ナイロンやアクリルが代表的です。
天然繊維
天然繊維は採取される対象物で分類されます。大きく動物、植物、鉱物に分類されます。ただ採取するだけでは使いにくいため、加工や精製を行なって使いやすい状態にします。
化学繊維
化学繊維は有機繊維と無機繊維に分類されます。ここで有機物とは炭素C原子を含む化合物の総称とされており、無機物は有機物以外の物質ということになります。(ただし例外もあります。)有機繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維と分類されています。