繊維が何の素材なのかを比較的安価に鑑別し判断する方法がありますので紹介します。

観る

見るといっても目視で判断するのは困難です。拡大して観察します。どの程度の倍率が必要なのでしょうか?マイクロスコープでは200〜1000倍程度では織物や編物の構造はハッキリと分かりますが、繊維表面を詳しく観察することは難しいです。よってより表面の状態を観察できる走査型電子顕微鏡(通称SEM)が必要になってきます。ここで確証を持てるのは羊毛(ウール)のような動物繊維です。髪の毛のように鱗状のスケールを見る事ができれば判断できます。ただし、ウール、カシミヤ、アルパカなど、どの動物かまでは難しいでしょう。繊維の捲縮で判断する場合もありますが、糸の加工の段階で捲縮がついた場合もあるので、誤った判断をしてしまう可能性もあります。その他の繊維は見ただけで判断することは困難だと考えて良いでしょう。

水に浮かべる

比重が水1に対してポリプロピレンが0.91のため、水に浮きます。その他に浮く繊維はありませんので、一発でポリプロピレンだと判断できます。表面張力で浮かないように一旦しっかりと沈めて下さい。

燃やす

臭い

燃やした際の臭いや炭化した後の状態で判断します。しかしやってみるとわかりますが、ハッキリ申しまして難しいです。問題なのは完全なる破壊検査であること、いまいち確証が持てないこと、煙を吸うので体に悪そうな試験であること。など問題があります。

紙の燃える臭い :綿、麻、レーヨン、キュプラ 

髪の燃える臭い:羊毛、絹、プロミックス

甘い臭い: ポリエステル

酸っぱい臭い:アセテート、トリアセテート

塩素の臭い:ポリ塩化ビニル、ビニリデン、ポリクラール、

ロウソクの臭い:ポリエチレン、ポリプロピレン

何となくわかるのはこのあたりまでだと思います。

灰の状態

ポリエチレンがあまり灰が残りません。そのほかは黒い塊になることがほとんどです。綿、麻、絹、羊毛の天然繊維は灰の塊を押すと潰れます。ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの化学繊維はカチカチの塊になりますので、天然繊維か、化学繊維を大まかに判断するには良い方法だと思います。