織組織とは、織物の交差するパターンのことです。タテ糸とヨコ糸が交差するポイントをひとつひとつ捉えてタテ糸が上に来るのか下に来るのかを表したものです。織物はタテ糸が上なのかヨコ糸が上なのか、2つに1つのパターンを繰り返しているだけなのです。デジタル信号で言うONとOFF、0と1の組み合わせに似ていますね。

組織の表し方

織物の場合柄が視覚的にわかりやすいように組織図を用います。前述の通り2つのパターンの組み合わせでしかないため、タテ糸が上に来る場合を黒ぬりの■、ヨコ糸が上にくる場合を白ぬりの□で表します。ここで織物は通常横幅1m以上ありますが全てを組織で表すと大変大きな組織となっていまします。そのためあるパターンの繰り返しの場合は最小のパターンのみを抜粋して表しています。これを完全組織図と言います。以降の組織は完全組織図で表していきます。

基本的な組織 三原組織

組織の元となる3つを紹介します。平織り、綾織、朱子織です。基本的にはこの組織、もしくは3つを組み合わせたりして織物にしていきます。

平織(ひらおり)

もっとも丈夫で基本的な組織です。プレーンとも言います。この組織よりも単純な組織は存在しません。なぜならタテ糸とヨコ糸が交差しないからです。タテ糸とヨコ糸は交互に浮き沈みすることになります。言い換えると糸の浮き量は最小になる組織とも言えます。糸の浮き量が少ないということは摩擦に強いです。ふと鋭利なものに引っかかっても糸が引き出されにくいというメリットがあります。寝装品、椅子など擦れる商品に適すると言えます。また、この組織は表裏が同じになります。

綾織(あやおり)、斜文織(しゃもんおり)

斜めに綾目と呼ばれる模様が浮き出ます。ツイルとも言います。こちらも糸の浮き量が比較的少ないため丈夫です。平織よりも柔らかくなります。綾には種類がたくさんあります。組織の作り方によっては綾目の角度や方向を変えることができます。お手持ちのジーンズやチノパンをよくご覧になってみてください。斜めに綾目模様が見えるはずです。丈夫だが柔らかさを求めたい場合に用います。平織りよりも織り密度を上げることができます。これについては後述します。

斜文の前についている分数のような表記ですが、例えば一番左の組織は、タテ糸1本がヨコ糸の上になり、次ぎのタテ糸2本はヨコ糸の下になつていますの で、1/2のように表わせます。

朱子織(しゅすおり)

糸の飛び量が多くしなやかな織物ができます。サテンとも言います。おもて面と裏面で見える糸が異なるのでタテ糸とヨコ糸どちらの色を見せたいのか考える必要があります。また、タテ糸の浮き量が平織よりも大きいことがわかりますか?織物はタテ糸の間にヨコ糸を打ち込んでいきますが、浮き量が多いことによりヨコ糸をいっぱい打ち込めるのです。同じ糸の本数で比較すると当然平織りの方が丈夫ですが、ある一定の区間内のそもそもの糸の本数を平織よりも増やすことができます。この辺りが織物の深いところですね。いっぱい打ち込めるということは密度が上がり、糸同士の隙間がなくなるため、地厚な生地を作れます。光を通したくない暗幕なや遮光性カーテンに適する組織です。

朱子は組織点が隣接せずに配置されるものです。タテヨコ5本以上で、組織点が一定の飛び数で離れています。まず、タテヨコ5本の朱子織は、5枚の綜続で織れるので、5枚朱子と言われます。5=2+3で 、2と3は、公約数を持たないので、そのどちらかを飛び数として組織図を作ります。

6枚朱子を作ろうとしても、6=2+4で、2と4は、2で割り切れ、飛び数2で組織図を書いて行くと、1循環の中に、同じ経糸に組織点が2つ現れる所と、組織点がない経糸ができ、朱子組織になりません。

7枚朱子で飛び数2、 3、 4、 5以上であれば、朱子になります。良く用いられるのは、 8枚朱子で飛び数3、 5、のもの、10枚朱子で飛び数3、7のもの、 12枚朱子で飛び数5、7のものなどです。

変化組織

織物の三原組織である平織、綾織、朱子織の中のひとつを基礎として、変化させたものを言います。三原組織のそれぞれから変化してできる組織を変化平織、変化綾織、変化朱子織と言います。

変化平織

よこうねは2本以上のタテ糸が、1本のヨコ糸と組織し、たてうねは1本のタテ糸が、2本以上のヨコ糸と組織して作られます。うね織はあぜ織とも言います。斜子(ななこ)織は平繊のタテ、ヨコ糸を2本以上で組織して作られ、その表面が平らで光沢があります。

変化綾織

綾織の組織から派生した変化組織は、組斜文、破れ斜文、山道斜文、飾り斜文、飛び斜文、昼夜織の他、緩斜文、急斜文 、曲り斜文など非常に多くあります。 

変化朱子織

変則朱子は2個以上の飛び数をもち、組織点を不規則に配置し、朱子の外観を保ちます。ひろげ朱子織は、朱子織を拡大したもので、同数の綜絖(タテ糸の上下の動きを操る部品)を用いて大きな組織を作ります。重ね朱子織は、同じ朱子が重なったもので、朱子組織の特徴を損なわずに糸の浮き量を減らすことができ、丈夫になります。

特殊組織

三原組織の原則とは少し異なる特別な組織を紹介します。

模紗はメッシュ状になります。物理的な特性をうまく使ったもので、糸は常にまっすぐになるわけではなく、ゆるい方に寄っていく性質を利用しています。つまり組織図に現れている十字の部分は糸の飛び量が大きいため隣の糸が十字の中央に向かって寄ってきます。そのため隙間ができるのです。

蜂巣は長い浮き量と少ない浮き量で落差を持たせ、立体的にする組織です。長い浮き量の部分は糸が緩く膨らみ、短い浮き量の部分は締まって平坦になります。このギャップで生地が立体的になります。

梨地(なしじ)は砂子(すなご)、ちぢみとも呼ばれます。梨の表面のような細かな凹凸があり、ざらっとした質感です。梨地織を作るのに、明確な規則は無いようですが、均一な斑点状の外観をもたせ、縞のように見えるのを避けた組織梨地と言います。

重ね組織

これまでの組織は1重組織です。基本的には生地は1枚で織られます。が、2重、3重と重ねることができます。・・・。?すこし理解に苦しむと思います。が、例えば二重組織でおると、生地が2枚出てきます。私もはじめ不思議で仕方なかったのですが、原理がわかってしまえば意外と簡単です。最も簡単な平織を2枚イメージしてください。それを2枚重ねます。ここで、その2枚目は1枚目の糸の間にくるようにずらして置くのです。そして組織図を書くと次のようになります。これで平織の二重組織の完成です。

重ね組織は二重組織のように完全に分離し2枚になるものと、2枚がどこかで結節されているものがあります。

二重織は自動車のカーテンシールドエアバッグなどに用いられています。1回の織で2枚になるので、任意の形状の周囲を平織などの一重織で閉じてあげると、袋状になり、縫製が不要のエアバッグができあがるのです。カーテンシールドエアバッグなど複雑な形状の場合は縫製するよりも安く作ることができますのでこの技術が活用されています。

織組織一つとっても様々な柄があり、様々な工夫が凝らされています。