吸湿発熱素材

吸湿発熱とは

水が繊維表面に吸着されるとき、運動エネルギーが熱エネルギーに変換されます。この熱エネルギーを吸着熱といいます。この現象は実は特別なことではなく常に我々の身近なところで起こる現象です。

逆に繊維表面から水分が蒸発するときは熱エネルギーが運動エネルギーに変わり熱が奪われます。これを気化熱といいます。我々の皮膚から汗を出すのもこの気化熱を利用して私たちの体を冷まそうとするからです。

つまり吸湿発熱という現象は、この自然界で当たり前に起こる現象なのです。

吸湿発熱素材

ヒートテック(UNIQLO)

ブレスサーモ(MIZUNO)

ヒートファクト(AEON)

ボディーヒーター(SEVEN & i)

モイスケア(TOYOBO)

などが吸湿発熱の効果をうたって販売されています。それぞれ使用されている素材は異なります。さらに年によって追加で機能を付与したり、宣伝方法が異なっています。しかし吸湿発熱に関する根本的なところは同じです。

吸湿発熱効果を高める

当たり前に起こる現象ですがその効果をうたっている製品が沢山あります。これらの製品は、吸湿発熱の効果を高める工夫をしてあると考えて良いでしょう。主には表面積を増やす、水分の吸収率が高い繊維を使うことで実現しています。

繊維製品の表面積を増やすには

基本的に生地の面積を増やすことは衣類ではコストや重量の都合で難しいため、その中の繊維一本一本の面積を増やすことで表面積を確保します。そのため繊維を限りなく細く、たくさん集めて表面積を増やす手法をとっています。また繊維断面を真円から複雑な形状にするのも効果があるでしょう。

水分の吸収率を高めるには

水分の吸収率は素材でおおよそ決まっています。公定水分率という指標を目安にします。ポリエステルが1%以下なのに対して、綿:8.0%、レーヨン:13.0%、ウール:16.0%となっており、公定水分率が高い素材を選べば良いわけです。さらに吸湿性の高い物質を繊維中に練り込んだりすることも考えられます。

吸湿発熱の注意点

吸湿発熱は寒い時に暖かいと思い込んで騙されてはいけません!

この効果が最もよく発動するときは人間が暑くて汗をかいた時です。つまり人間が暑いと感じた時にさらに発熱してしまう可能性があるということです。寒い時期は乾燥しており、汗をかきにくいため効果が出にくいのです。

また、この発熱効果は一度吸湿したら終わりです。(次は乾くまで待つ必要があります。)確かに熱くなるのですが5分ともたないでしょう。一瞬で発熱し、すぐに冷めるのです。発熱した後は表面積が大きい分気化しやすく、素早く熱を奪っていきます。この熱と湿度を全く逃さないような魔法瓶のような服の中にいれば別ですが・・・

効果を否定するわけではありません。吸湿発熱の原理をおさえ、「湿度が上がって吸湿する時に僅かな時間発熱する」ということを忘れてはいけません。メーカーの宣伝を鵜呑みにせず、使用するシーンが適切かどうか正しく判断して用いることができる、賢い消費者となる必要があります。

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