繊維製品とアレルギー
化学繊維製の衣服の着用した際に,かゆみ,湿疹,かぶれなどの症状に苦しんでいる方が少なくないようです。皮膚科医はアレルギー性皮膚炎患者に対して,化学繊維の着用を避けるように勧められるかもしれません。しかし、原因は明確でしょうか?医療機関では原因をつきとめるところまでなかなかたどり着かないことも多いです。原因が分からずして、安価で高性能な化学繊維を軒並み排除するのは合理的ではありません。いくつかヒントになる項目を挙げてみます。解決の糸口になれば幸いです。
汗①
汗に含まれるナトリウムやアンモニアが刺激物となる場合があります。汗は吸水した方が有利に働くので、親水性で吸水性が高い綿を選択し、効果があれば、汗が原因かもしれません。もしくは化学繊維でも吸水性を高めるための改質をしたものがありますのでそちらを試してみるのも良いかもしれません。
汗②
汗に含まれるかゆみ成分であるヒスタミンが影響し,疎水性繊維であるポリエステルはヒスタミンを含んだ汗が表面に残り,繊維と皮膚が摩擦されることによってかゆみが発生しやすく、こちらも親水性繊維の綿は、汗を吸水するため、かゆみを抑えることができると考えられます。
繊維の物理的刺激
尖った繊維や硬い繊維などの物理的な刺激ですので、この素材の使用を中止するか、直接触れないようなインナーを着るのが良いでしょう。こちらは化学繊維が原因というよりも、ウールなど天然の動物繊維を使用した場合に起きやすいと思います。そのほかにはモノフィラメントはマルチフィラメントよりも剛性があるため、違和感を感じやすいですし、フィルムを細くスリットしたスリットヤーンもカット面のエッジが刺さる場合もあります。
衣類の染料
アゾ系染料、アントラキノン系分散染料、 そして、ナフトール染料によるものが大部分を占めます。特にアゾ系染料は基本的には規制の方向である染料ですが、昔の衣類には使われているかもしれません。繊維から染み出して皮膚に障害を与えている可能性があります。同じ素材でアレルギー反応がある衣類とない衣類がある場合は染料が影響しているのかもしれません。
洗濯洗剤
選択洗剤のすすぎが不十分で、配合されている殺菌などの成分が皮膚に影響している可能性があります。洗剤を無添加のものに変えてみることや、洗濯機のすすぎの回数を増やすことで解決するかもしれません。
金属への反応
繊維にも金属を蒸着させた物があります。金属のような光沢を持った糸には金属が付着している可能性があります。金属アレルギー反応の可能性も疑ってみましょう。
化学物質過敏症
こちらはアレルギー反応ではなく、化学物質が自律神経系へ作用することで起こります。アレルギー反応の場合は、血液検査で反応がありますが、化学物質過敏症は、自律神経の異常のため、血液検査では異常はみられません。誤ってアレルギーと判断してしまうと、化学物質である薬を処方され、余計悪化する恐れがあるため、専門外来に相談する必要があります。