なぜ傘は雨が染みてこないの?
まず、傘は何の素材でできているのでしょう。実はこれという素材は決まっていないんです。メーカーによって異なります。ポリエステル、ナイロンをはじめ、綿、絹などの天然繊維も用いられているものがあります。
その中でも割合が多いのはポリエステルや、ナイロンです。化学繊維は素材自体が疎水性ですので、雨傘に適していますね。特に安価なこともあり、現在はポリエステルが主流です。
雨が染みて来ないヒミツ
傘の生地は織り方に工夫があるのかというと、特殊な技術はありません。しかし生地は当然雨が抜けて来ないように密度を高くする必要があります。しかしこれだけでは雨は防げません。実は生地にコーティングを施してあります。見た目ではあまり分からないですよね。しかし手で触ると少しパリッとした生地感になっています。
コーティングについて
コーティングには主に目的が2種類あります。
防水性
一つ目は防水のためのコーティングです。根本的に生地から雨が抜けるのを防止するためのコーティングです。織物の間に発生する隙間を完全に埋めるためのものです。コーティングの樹脂はアクリル、ポリウレタン、シリコンなどの樹脂が用いられています。傘としての防水性は、JUPA(日本洋傘振興会)の規定により、雨傘が耐水圧250mm以上、晴雨兼用傘が150mm以上とされています。レインウエアに求められる数値より大分低いですが、衣服と違って伸び縮みさせる必要がないため、上記の性能で一定の役割を果たすことができます。
撥水性
コーティングのもう一つの目的は撥水性です。防水性だけのコーティングでは雨粒はコロコロと下に落ちず、生地が濡れた状態になります。
撥水性を持たせるためには水分子に働く分子間力による表面張力をうまく使います。水の表面張力は約70[mN/m]ですが、それよりも生地が引き寄せる力を弱くしてあげることがポイントです。フッ素樹脂を用いると引き寄せる力が約15[mN/m]程度になり、表面張力によって水玉ができます。
防水性と撥水性は異なるもので、傘の生地には両方が施されていることがほとんどです。
コーティングの劣化
傘は少しずつ撥水性が落ちていきます。どうしてもコーティングが剥がれてくるからです。一番の原因は摩擦によるものですので傘を畳む時にできるだけ生地表面を触らないように、手で巻かずに留め帯を使ってで畳むことが好ましいです。コーティングが取れる以外に手の汚れや油などが付着し、撥水性を妨げることもあります。
撥水性の回復
撥水性が落ちているのは表面が変形してしまっていますので、熱の力で整えてあげると復活する可能性があります。良く聞くドライヤーの熱風を当てる方法です。こちらでも効かない場合は上から撥水剤を塗布するしかありません。
少し高価ですがこちらを使えば間違い無いでしょう。傘以外にも衣服や靴に使用できます。
こちらも定番品です。