オーガニックコットンの秘密
「オーガニックコットン」という言葉を耳にしたり、商品の宣伝などで目にしたりすることがあると思います。オーガニックコットンとは、GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)などの認証機関によって定められたコットンで、以下のようなルールに従っているものです。
- オーガニック農産物等の生産方法についての基準に従っている。
- 2~3年以上の生産実績を経て認められた農地で栽培している。
- 農薬・肥料の厳格な基準を守っている。
普通の綿花栽培では、かなりの量の化学肥料と農薬が使われており、地下水の汚染などの影響で農家の人たちの健康に影響を与えます。オーガニックコットンは化学薬品を使用できないので、家畜の糞尿や化学薬品の入っていない農薬を使用するなど、工夫が必要です。
また、製品へ表記する際は、オーガニックコットンという名称を表示する場合は、製品全体または、当該部位に占めるオーガニックコットンの混用率やを表示しなければなりません。
結局、オーガニックコットンは手間がかかるので、世界中の綿の生産量のわずか1%未満です。オーガニックに価値を見出す消費者も多く、高値で取引されます。
普通のコットンとオーガニックコットンの違い
オーガニックコットンは肌触りが良い、などといわれます。しかし私感ですが、オーガニックかどうか、製品の状態で違いを見分けるのはほとんど不可能だと思います。同じ品種の綿であれば、一般の消費者が明確な違いを感じ取ることはできないでしょう。
収穫されるコットンは、普通に栽培しても、後工程で農薬が洗い流され、専門家が分析しても判別は難しいレベルです。
そのため、認証機関を信じるしかないのです。認証を受けた後でも、毎年、検査員がチェックしますので、信用できるものになっています。
価格は一概には言えませんが、1.2〜2倍程度、場合によってはそれ以上のものもあります。この価格差は地球の環境に優しく作った手間賃代、もしくはアパレルメーカーの利益に収束すると思われます。
オーガニックコットンの選び方
マークに注目
商品を選ぶ際には、GOTS(下図左)の認定団体の証明があるかを調べることが大切です。OCS(下図右)という団体もあります。環境への配慮、労働環境のモニタリングなどの基準がないという違いがあります。いずれにせよ、認証されたものであることが重要です。
また、日本では認識が薄いですが、我々が手にする衣類などの繊維製品はは、裏で低賃金で過酷な労働を強いられている人たちがいるということを理解しなければなりません。オーガニックコットンに高い値段を支払ったとしても、苦労して育てた綿農家にすべて行き渡るわけではないのです。フェアトレード・ファンデーションの認証ラベルがついていれば、栽培農家が最低限必要な賃金をきちんと得られているという証になります。
割合
他の繊維と混紡されたものでは、せっかくのオーガニックの意味が薄れますね。とくに合成繊維と混紡した場合、再分解や再生産もできなくなります。混紡しても表示さえすればオーガニックコットンと謳ってOKなので、メーカーからすれば、高価なオーガニックコットンの比率を下げたいわけです。
オーガニックコットン100%を選びましょう。
色
染料で合成染料を使ってしまっては化学薬品を使っていないオーガニックの意味が薄れてしまいます。こだわりを持って天然染料でそめている製品もありますので確認しましょう。もちろん染めていない製品もあります。
無漂白・無染色を選びましょう。
無漂白・無染色であれば、やや茶色がかったり、グリーンがかったりしています。実は真っ白のコットンは薬剤で漂白しているんです。
おそらくオーガニックコットンを選ぶ消費者の方は化学薬品に反応しやすいなどの敏感な体質の方が多いと推察します。原料のコットンだけでなく、生産背景や、後工程についてもよく知ることで、良い製品選びに繋げていただけると幸いです。