サスティナブルの闇
近年サスティナブルという言葉をよく聞くようになりました。消費型経済から循環型経済に移行すべきであるという考え方です。世間にも大分浸透していると思われますが、そもそも我々はサスティナブルな商品を我々は適切に選べるでしょうか。「サスティナブルっぽい」商品が多く提案されています。
カスを混ぜた繊維
コーヒーの搾りカスを繊維に練りこんだ商品を見ました。これはサスティナブルなのか。化学繊維にカスを入れているわけですが、入れる量には限界があります。なぜならば母材がポリエステルだとすると、ポリエステル繊維としてはコーヒーのカスは不純物だから。不純物を入れれば入れるほど強度低下が起こります。どのくらい含有しているか定かではありませんが、数%から数十%入れれば顕著な強度低下が起きるでしょう。使い終われば、多少の不純物が混ざったポリエステルであり、ゴミはゴミ。不純物が混ざっているが故、余計にリサイクルしにくいのではないでしょうか。であれば、何も含まない繊維を素直に用いる方が良いのではないかと思うわけです。不純物の回収、輸送、洗浄や、混ぜるときの加工に多くのエネルギーとコストを使っているはずです。コーヒーのカスはそのまま肥料として使えます。「再利用」など聞こえのいいワードが並んでいますが、どのようにサスティナブルなのか明確に説明すべきです。それ以外にも繊維製品にはなんとなくいいように思えるワードを並べて販促されるケースが多いと思います。本当に地球のことを考え、出口まで見据えた商品を提供していただきたいものです。全ての生産を止めることは不可能ですが、繊維製品には本当の意味でのサスティナブルなイノベーションが必要です。