繊維を集めて引き揃えたり撚り(より)を加えたものを糸といいます。なので糸は繊維の集合体と考えてよいでしょう。繊維一本でもある程度の太さがあれば糸になり得ます。この場合は撚る必要はありません。釣り糸をイメージしていただけると良いと思います。
短繊維の糸
短繊維の糸は短繊維の塊から繊維を引き出して作られます。短繊維の糸をスパン糸(し)または紡績糸(ぼうせきし)と呼びます。引き出すとそのまま途切れてしまいますが、引き出しながら撚り(より)と呼ばれる回転を加えると軸中心方向にトルクがかかり、摩擦力によって途切れなくなります。これを連続して行うことで長い糸になるのです。これを手作業でで行うのはバラツキがあるため、紡車という道具が考え出され、さらに機械化により、紡機と呼ばれる機械で糸が大量に、高速に紡がれるようになりました。
スパン糸の見分け方
スパン糸は短繊維を集めて作っているため短繊維が毛羽となって出てくるのが特徴です。糸が毛羽立っていれば短繊維と言えます。
長繊維の糸
途切れることなく繋がっている繊維が集合した糸です。長繊維をフィラメントと呼びます。長繊維は合成繊維の場合シャワーヘッドのような口から吐出しますので何本の繊維から成っているのかをコントロールできます。何本の繊維からできているかをフィラメントカウントと呼んだりします。フィラメントカウントが1の場合は「モノフィラメント」、2以上の場合を「マルチフィラメント」と呼びます。業界ではモノフィラ、マルチなどと呼ぶことが多いです。基本的に一般の方が耳にすることは少ないと思いますが、生地にした時の風合いに直結する非常に重要な数字になります。
フィラメント糸の見分け方
フィラメント糸は長い繊維が途切れることなく繋がっているため、毛羽は見られません。短繊維よりも光沢があり、ツルツルしているように見えます。