納豆の糸も繊維なの?
ちょっと変わり種のネタです。繊維の定義を整理すると、繊維とは糸を構成する最小単位の長くて細い固体のことを言います。どれだけ長くて細いかは明確に規定されていないようです。さて納豆はある意味個体ですが、その繊維状の形状を永続的にキープできないため、明確に繊維と言うのは難しいでしょう。しかし納豆の糸もポリグルタミン酸と言われる高分子です。余談ですが、グルタミン酸は昆布や野菜に含まれる旨味成分として有名ですね。話を戻しますと、納豆の糸もポリエステルなどの糸を作るときのメカニズムと同様の現象が起きています。どういうことかと言うと、繊維を作るために重要な因子である分子の「配向」が起こっていることです。繊維を作るときはその樹脂を溶かし、引っ張りながら巻き取ります。配向とは引っ張る過程で分子が整列して結晶化が起き、細く強くなる現象です。納豆でも同じことが起こります。少し早めに納豆を引っ張ってみてください。すると比較的強い糸ができます。逆にかなりゆっくりめにして引っ張らないとすぐに糸が切れてしまいます。これは分子の配向が起きないからに他なりません。
納豆の食べ方のコツ
もし納豆の糸が煩わしくて嫌だという方は、分子の配向を起こさなければいいのでゆっくり移動させながら食べてください。すると糸が勝手に切れて食べやすいはずです。納豆を持ち上げてしばらく静止しておいても重力で勝手に切れてくれます。逆に納豆の糸に苛立って高速で引っ張り、箸でグルグル巻いたりしている人がいますが、糸を切るという意味では逆効果です。
配向とは関係ありませんが、納豆の糸は水溶性なため、味噌汁などで箸を濡らしておくとより糸を切る効果が高まります。一度試してみてください。
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